3. 旅行業界は細分化を極めた業界

 話を次に進めよう。まあ無事に申し込み手続きが終了し、あなたの旅行契約が成立したとする。すると旅行開始日までにあなたの手元には色々な案内が届くだろう。もしあなたが申し込んだのが高いツアーだった場合には、そのツアー参加者を対象にした説明会が行われる事もある。最近は経費削減からこういった細かなサービスは省略される傾向にあるが、それでも渡航先があまり一般的ではない場所だったりした場合には必ず行われている。
 そしてだいたい出発一週間前位になると、あなたの手元には旅行の日程表(高いツアーほど凝った物が多い)やバッジ、荷物につけるタッグ、出発前に申し込んでおくと帰国に合わせてお土産を宅配してくれる業者のパンフレット、パスポートカバーやツアーのロゴ入りビニールポーチ(こういった出発前にお客に配布する景品類を総称してギブアウエイと呼ぶ)などなどが送られて来るが、これも別の専門会社が作成して発送している事が多い。こういった会社は各ホールセラーと契約して、成立したツアー毎にその参加者リストとツアーデータを受け取り、最終日程表をコンピュータで作成して印刷・製本加工をし、それと予めツアー毎に指定されたギブアウエイを各参加者に発送している。
 この時送られて来る日程表には、自分が乗る飛行機の便名や宿泊するホテルの名前が記載されている。お客によっては何でもっと早くに送って来ないのかと文句を言う向きもある様だが、これは弁解になるが、現状では致し方のない事なのである。と言うのも特に飛行機の便名に関しては、直前まで航空会社から回答が来ない為に、参加者に通知するのもギリギリになってしまうのである。この飛行機の座席確保の問題は、これだけで本が一冊書けてしまう程、複雑なシステムになっている訳だが、最近の高いツアー、特に航空会社が自ら運営している「アイル」や「ハローツアー」の様なツアーなら、既にパンフレットに使用便名まで指定されている場合があるが、それ以外の場合は旅行会社の、と言うより、航空会社側の問題で回答が遅くなってしまうのである。